「金沢」はステージ

2013年12月04日

金沢21世紀美術館が、大変なものを企画しました。

日本と韓国とイギリスの共同制作。
「ONE DAY、MAYBE いつか、きっと」。
(12月10日まで連日公演中 まだ空席があるかも)

観客が、観客ではいられない芝居。
街が芝居空間となり、時空と国境をこえて、さまよう。
やがて、驚きは笑いへ、笑いは恐怖へ、恐怖は悲しみへ。
どこが始まりで、どこが終わりかわからない不思議なパフォーマンス。
数日たった今も、その深く長い余韻が私の体内に滴り落ちています。

こんなすごいパフォーマンスが、なぜ東京で行われないのか。
クオリティの高さに、ふと思いました。
しかし、すぐに考え直しました。
いや、金沢という街でこそ、実現できた内容だった、と。

いつかきっと
(公演の詳細は明かすことができません・・・)

ついこの前、ロケ中に、こんなことがあったんです。

犀川の見える景観を気に入って、移転してきたレストラン。
テラスからの見える景色をバックに、撮影をする予定でした。
ところが、何十年ぶりという護岸工事が始まり、目の前に巨大なクレーン車が・・・。

私はあきらめて、外が映らないアングルで進行することにしたのですが、
「工事の人に相談してみましょう」と、レストランのマダム。
まさかと思い同行すると、ちょうど昼休憩に入るところで、
クレーンのアームをおろしてくださったのです。

瞬時に解決。
マダムと、現場監督(?)の心意気に感銘を受けました。

犀川
(ロケに立ちはだかったクレーンでしたが・・・)

これって、「金沢」らしい出来事だと思います。

自分の店だけでなく、街並みも被写体だと考えるレストラン。
街並みの大切さに理解がある、工事現場の人。

どこか、ほかの街と違う気がします。
ごく当たり前に、人々の心に、美意識が備わっているといいますか・・・。
街が人をつくり、人が街をつくっているといいますか・・・。

お陰様で、ロケは順調に終わりました。

ラ・ネネグース

金沢の街は、ステージですね。
運営しているのは、ここに暮らす人々。

季節という自然の演出を生かし、
景観という美意識を保ち、
文化という精神を受け継ぎ続けています。

新しいパフォーマンスでも、
奇抜さだけが目立つことなく、
確かな芸術として受け入れられる奥深さ。

このおもしろき、うつくしき街の魅力を伝えていかねばと、
つくづく思うこのごろです。

今週の「土曜はドキドキ」。
金沢にし茶屋街周辺の特集で、この写真のレストランが出てきます。
でも、クレーンはたぶん出てきません。
美しい1カットに、金沢を愛する様々な人の思いがあることを、
少しだけ想像してみてください。

7日(土)あさ9:30放送です。